宜保愛子(怪談語る人じゃなくて、霊能者) の 似顔絵イラスト。
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一見すると、平井堅氏にも勝るとも劣らない堀の深さを持っている只のおばさんに見えるが、「霊能者」と言えば、この人だった。
今の若い方はあまりご存知ないかもしれないが、江原啓之氏やスピリチュアルなんとかだとかよりももっと早く、80年代の後半から90年代の前半にかけて、ゴールデンタイムに特番を組まれてまで出演していた霊能者がいた。
まだテレビが「オカルト?やらせ?OK!OK!そこら辺はファジーな感覚で!」的なことあり、心霊番組などが全盛期だった。世の中的にも、テレビ業界的にもゆとりがあったし。
そんな中、ただの女子大生を心霊スポット(この言葉、当時あったか定かではない)に連れて行って、キャーキャー言わせるよりも、「視える人」を呼んできて、具体的かつアクロバチックかつドラマチックかつ、恐怖だけではなく少しハートウォーミングに解説してもらった方が視聴者の食いつきもいい。
だって、見えないんだもの。
霊なんか見えないんだもの。
普通の人には見えないけど、視える人ならではの解説の存在は大きい。
旅行でもただのバスに乗るよりも、バスガイト付きの方がいい。
観光地にツアーコンダクターがいてくれた方が分かりやすい。
霊の声はこちらからは分からない。
こっちの声は霊には伝わらない。
「正ちゃんのママさん、ごはん、おかわり!」ぐらい分かりやすく言ってくるオバケなんかいやしない。むしろ、ママさんからすれば、聞こえないふりをしたいくらいだ。
ならば、通訳者が要る。
その役割を買っていたのが宜保愛子嬢。
ソフトボールをつなげてみました!的な大きめな数珠を抱えた山伏の格好や、覚えたお経は年の数!といわんばかりの如法衣の格好をしていれば、それはそれで説得力もなくもないけど、逆に言えば胡散臭い。
「あっ、こいつ、地獄に落ちる人だ!」と安易に想像できる。
ところが宜保愛子嬢ときたら、そこら辺の主婦が参観日に頑張ってお洒落しましたといった感じの服装。時代もあってか、肩パット濃度は高い。
これならば、昔からのテレビのメインのターゲット層になっている主婦の方々からも、愛着が持てるというものだ。
主婦=宜保愛子嬢がドンドン、グングン、心霊スポットに行っては霊の声を聞いて行くのだ。果ては海外にまで!
どこか控えめで身近さも感じる淑女が、活躍して行くのだ。
そりゃあ、人気も出たと思う。幼かった当方からもしても、霊能者と言えば宜保愛子嬢だった。
それまで心霊(オバケ)といえば、表はパン屋、裏めし屋とばかりに、生きている人間にうらみつらみをノーリーズンでぶつけてくるようなものだった。
当たり屋ならば、まだ金をせしめるといった理由があるが、霊というのは捻れた思春期マインドよろしく「むしゃくしゃしたから・・・」的なことで出てくる。
デジカメなどない時代に、被写体には関係ないけど「むしゃくしゃしたから・・・」で写り込んでくる。
もう一回言うが、デジカメないんやで。街の写真屋に持ち込んで現像してなかったら、もとい、現像してもよく見てなかったら気付かれてなかったんやで。それでも、バイクも盗めないから出てくる。
そんな有象無象ばかりだったはずが、宜保愛子嬢の場合には、出てくる霊がなんだか悲しいバックグランド持っている者が多い。
きっと物凄い早さで宜保愛子嬢に自分史を語りかけたんだと思うけど、だいたい何かしら深みのある物語があった。
「なんかー、黒いなんかが、なんかーいます・・・」
というよりも、物語性があった方がテレビ的に受けがいいのだ。悲しい物語があった方が!
宜保愛子嬢は霊の面接官でもあったのだ。「そんなことじゃ、視聴者もスポンサーも満足しないよ!ゴールデンなんだよ!」と、霊にだけ通じる言葉で言っていたのだろう。
もちろん、すごく怖がって動けないとかもありました。
つまりは緊張と緩和。恐怖とハートウォーミング。これの絶妙なバランスを彼女は兼ね揃えていたのだ。「いい刑事とわるい刑事」の手法と一緒だぜ。
見事に視聴者の心を揺さぶった。
本当に霊能力があったかどうかは定かではないけど、「霊能者」という役割を見事に演じてはおられた。怪談語る人ではなくて、「霊能者」なのだ。
同じ手法を稲川淳二氏が「恐怖の現場」のDVDシリーズでやっておられる。
既に現場に行っているのに、新たに現場にまつわる新しい恐怖話を思い出したり、淳ちゃんならではの「吐き芸」が見られる。
あんまりに心霊濃度の高いところに行くと、ゲージ越えを分かりやすい形でこちらに伝えるために、ゲーゲー吐いてくれる。
セクシー女優がここぞといった場面で潮吹きするのにも通じる、画面の向こうの人に目に見える形でわかりやすく伝える技だ。
グルメ番組にも通じる、いかに画面の向こうの人間に「こんな状況です!」といったことを伝えるか、磨かれて磨かれて今がある技だと思う。
残すべく日本の大事な芸だと思うけど、引き継ぐ人間がいない。
宜保愛子嬢の霊の声に優しく耳を傾けてあげるといったのは、うさんくさいスピチュアルとかなんとかになったけど、淳ちゃんの「吐き芸」はここで途絶えそうだ。
まだまだ書き足りないけど、ここらで止める。
宣材写真 芸能人 Aiko Gibo ぎぼあいこ
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